準備編
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[1] 整式
「整数」と「整式」(多項式)の 2 分野は,「除法」の仕組みなど,似ている点が多いので,しばしば融合した形で出題されます.そこで,「整数」の問題演習の前に,「整式」の基本を確認しておきましょう.
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(1)
のように,数または文字を掛け合わせたものを単項式という.
(2)
単項式を足して得られる式,例えば
のようなものを多項式といい,これを構成する各単項式:
を項という.
(3)
単項式と多項式を総称して整式という.(高校教科書では,普通このように定められている)
とか
は,整式ではありません.
(3)の意味での「整式」のことを,「多項式」と呼んでしまうことがあります.こちらの立場では,本来「単項式」と呼ぶべきであった「
」も「多項式」と呼んでしまいます.大学以降,および大学入試ではこちらの立場が主流ですので,本書もそれに従います.つまり,
「整式」と「多項式」は完全に同義語として扱います.
2種類以上の文字を含む整式もあります.(例:
)
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例えば
について,
展開とは
因数(ア),(イ)から項を1個ずつ抜き出して掛けた積の,すべての抜き出し方(3・2=6 通り) についての総和を作ること.
よって,たとえば展開式における
の係数は,①において線を引いて示した抜き出し方のみ考えて,

.
などの係数についても同様に考え,①を一気に

・・・②
と展開するよう心掛けましょう.
この程度の展開において
と紙に書いてから同類項をまとめたりしていたのでは,「各次数の係数がどうなっているか」という有益な情報をサッと読み取ることができず,数学全分野の理解が妨げられます
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前記②から①への変形が因数分解である.
複数の因数の積①

多項式②
2つ以上の文字を含んだ式の因数分解では,
低次の文字について整理すると上手く行くことが多い.
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(1)
①における
の係数が「
」となることは,前述展開とはから理解できます.
因数(ア),(イ),(ウ)のそれぞれから
のうち一方を抜き出して作る積のうち,「
」の項になるものは,前図で線を引いて示した 3 つです.つまり,この係数「
」とは,
3つの因数(ア),(イ),(ウ)のうち,

の方を抜き出す1つの因数の選び方の数
に他なりません.よって,
の係数は

.
この考え方が理解されていれば,「二項定理」②や,次の“3項展開”の公式も自然に覚えられます!.
などは,上記公式の
を
に置き換えれば得られますので,ごく自然に覚えてしまうでしょう.
(2)
証明は,右辺を展開することによってできる.
①において,
を
に置き換えると
となる.これも覚えておいてもよい.
一般に,
が奇数のとき
と表せるから,②を用いて因数分解できる.
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を
で「割る」ことの意味を説明しよう.普通,整式の“割り算”は,次のように実行する.
まず,
から
の
倍を取り除き,残った
からさらに
の 2 倍を取り除く.すると残りが1次式:
となり,2次式
より次数が低くなったので,もうこれ以上
を取り除くことはできなくい.つまり
を
の形へと式変形することができた.このとき,
,
を,それぞれ
を
で割ったときの商,余りという.
このように,整式
から整式
の整式倍を可能な限り取り除くことが整式の除法である.
整式の除法とは
,

から

の整式倍を取り
除いて
の形へと
式変形すること.
余り:
が 0,つまり
の形に表せるとき,

は

で割り切れる
という.
①,②中の「
」は,両辺が式として一致する,つまり恒等式の意味でのイコールです.つまり「整式の除法」とは
「足し算」と「掛け算」を用い,
次数の関係を考慮した一種の式変形
です.試しに,① の右辺を計算・整理してみてください.左辺の
とまったく同じ式になっていることが確かめられるはずです.
「整式の除法」において,慣習に基づいて“割る”という表現を用いてしまいますが,決して「
」という記号や「分数式」を用いる訳ではないことをよく覚えておいてください.
このような除法の仕組みが理解できたなら,実際に計算を行う際には次のように係数のみ抜き出して計算する方がはるかに速いです.
1次式
で割る際には,「組み立て除法」が簡便です.例えば
を
で割るときは,次のようにします.
この計算法は,とりあえず覚えておきましょう.このようにして商と余りが求められる仕組みが気になれば,教科書等で確認しておきましょう.
あくまでも「
」です.符号はマイナス!
なら
とみなし,「
」を「
」として使います.
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整式
を,1 次式
で割ると
と表せる.両辺の
に
を代入すると
よって,次が成り立つ.
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